バターやチーズを作る事の出来る牛乳。飲んだ後、胃の中でやさしく固まり効果的に栄養が吸収される牛乳。牛乳特有の臭いがしない牛乳。あと味がスッキリとして舌にまとわりつかない牛乳。自然な甘みがお口に広がる牛乳。クリームラインが出来る牛乳。それがtomoらくのうのパスチャライズド牛乳です。

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パスチャライズド牛乳

19世紀、フランスの細菌学者「ルイ・パスツール」がワインの風味を損なわずに有害菌を除去するために考案した殺菌方法をパスチャリゼーションとよんでいます。
ルイ・パスツールが考案した殺菌方法には62℃~65℃で30分間加熱する方法(『LTLT』)と、さらに同等の殺菌効果があって、効率化を図るために開発された72℃~75℃で15秒間加熱する(『HTST』)があります。
この殺菌方法は食品の成分、風味、栄養、有用菌を極力損なわない殺菌方法として100年たった現在も食品の理想的な殺菌方法として乳製品の歴史の深い欧米世界で認められています。

この製法で作られた牛乳をパスチャライズド牛乳(パス乳)と呼んでいます。

パスチャライズド牛乳(低温殺菌牛乳)を作るには、原材料である生乳の鮮度と品質が一番重要です。
食品衛生法上、原料乳の細菌数は400万/ml以下、牛乳の細菌数は5万/ml以下とされています。(原料乳=牛から搾ったままのもの。牛乳=パックやビンに入って製品となっているもの。)
しかし、生乳の鮮度が悪かったり細菌数が多すぎたりとすると「低温殺菌牛乳」を作る事はできません。
東毛酪農の生産者から集める原料乳の生菌数は1万/ml以下を目標値にしています。
この数値は殺菌後の製品としての牛乳の数値の基準5万/ml以下をはるかに上回る数値です。
このように東毛酪農の生乳生菌検査は通常の原料乳検査では見つける事が出来ない為、一般的に殺菌後に行われる製品の培養検査法で行っております。
皆様に安全でおいしいパスチャライズド牛乳を提供する為には、生産者の高い志が必要です。
毎日の徹底した牧場での衛生管理、牛達にストレスを与えない健康管理、工場内での集乳から発送迄の細菌数のチェック等、毎日のたゆまない衛生管理の継続があって初めてパスチャライズド牛乳は生まれてくるのです。

「子供たちに酪農家が搾った生乳そのままの味を知ってほしい。だからなるべく手を加えずに牛乳を作りたい」という消費者と酪農家の話し合いの中から東毛酪農の「パスチャライズド牛乳」は生まれています。

食品衛生法における乳製品及び食品に含まれる生菌数の基準値

食品衛生法における乳製品及び食品に含まれる生菌数の基準値の図

牛乳の殺菌方法によるたんぱく質の働きの違い

牛乳の殺菌方法は、その温度と時間により「超高温殺菌」「高温殺菌」「低温殺菌」の3種類に大別されます。
現在、一般的に多く出回っている牛乳は「超高温殺菌」と呼ばれる120℃~130℃で短時間2~3秒間で殺菌処理されたものです。

牛乳の殺菌温度の種類

牛乳の殺菌温度の種類の図

殺菌方法によるたんぱく質の働きの違い

現在市場に出回っている牛乳の95%以上に採用されている超高温瞬間殺菌は大量生産に向いている殺菌方法なのですが、高い熱を加えることによって有害菌はもとより有用菌まで死滅させてしまいます。更にカルシウムやたんぱく質は高温によって熱変性を起こすため、今まで牛乳のコクと誤解されていた後口の悪いネバ付が発生してしまいます。
また、超高温殺菌することにより、生乳の風味が損なわれてしまいます。牛乳がくさいといわれるのは、本来牛乳がくさいわけではなく、超高温殺菌によりたんぱく質等が焦げ、その臭いがするからなのです。
実は、欧米で超高温殺菌牛乳(UHT)といえばロングライフミルクと呼ばれ、滅菌パックの容器に入れると1~2ヵ月もの期間常温で保存出来る為、非常用の牛乳やペット用としての位置付けにあります。しかし日本では冷やされて普通に販売されているのが現状です。

殺菌温度によるたんぱく質の変性

殺菌温度によるたんぱく質の変性の図

ノンホモジナイズドとは

ホモジナイズは、牛乳(生乳に含まれている脂肪球)に圧力をかけて、乳中の脂肪球を砕いて小さく均質化することです。これは、均一に短時間で超高温殺菌する工程で必要であると共に、超高温殺菌中に配管の中で乳脂肪が固まらないようにするための過程です。
私たちは、牛乳に圧力をかけるのは、牛乳を壊していると考えます。「牛乳を壊さずに、自然の牛乳を飲んでもらう」をモットーにみんなの牛乳では、ホモジナイズドをかけていません。また乳質を傷めないように、集乳車のポンプや工場のポンプ・配管などの振動・圧力にも注意を払っています。

均質化(ホモジナイズ)の仕組み

均質化(ホモジナイズ)の仕組み

クリームラインのできる牛乳

ノンホモジナイズド牛乳、ホモジナイズしない(ノンホモ)牛乳は、静置しておくと脂肪分が上面に浮き、クリームラインと呼ばれる天然の生クリームの層ができます。これは決して腐敗ではありません。クリームが浮かぶような牛乳なら、ホエータンパク質も生きているという証明になるのです。牛乳は本来クリームが浮く物でホモジナイズしないのが最も生乳に近いのです。

クリームラインが形成されるためには、ホモジナイズ(=脂肪球の均質化)処理をしないことと、63℃以上の熱を加えないことが必須条件。私たちはこれを「目で見る“殺菌”温度」と「目に見える優しさ」呼んでいます。クリームラインの出かたは日によって多少の差があり、瓶入り牛乳ではクリームラインの形成の出来・不出来が一目で判断できてしまうため、日々気を抜くことはできません。
クリームラインの形成はとても繊細で、集乳時や配送時の運搬の振動刺激や季節的なものによってもできない場合があります。
クリームラインができる牛乳は、良質な生乳で適切な殺菌、工程を経て大切に扱われた牛乳であり、たんぱく質が生きている栄養吸収率が良いおいしい牛乳の証なのです。

クリームラインの図

遺伝子組み換え飼料不使用(NON-GMO)商品へのこだわり

現在濃厚飼料に使われているトウモロコシ、大豆などの穀物の殆どを輸入に頼っている我が国で、一番輸入量の多いアメリカ産トウモロコシ、大豆は年々遺伝子組み換え作物(GMO)の作付けが増えてきております。2009年の米農務省の調査では米国のトウモロコシ作付面積に占める遺伝子組み換え作物の比率が、前年より5ポイント上昇して過去最高の85%に、大豆の割合も91%となっています。このような現状の中で国内の乳牛の飼料として使用されている作物の殆どが遺伝子組み換え飼料となっています。

東毛酪農では「みんなの牛乳」「みんなの根利牧場」の牛乳を生産する牛達には遺伝子組み換え作物を一切与えておりません(NON-GMO)。生産者、組合、共に協力をして安全で安心な牛乳作りを可能な限り続けていきたいと考えています。

パスチャライズド牛乳へかける思い

パスチャライズド牛乳に必要なのは、原料乳の質を高い基準で安定させる事。
安全で栄養バランスのとれた飼料を自給生産又は輸入し、牛の健康を第一に考え、乳中細菌数を常に少なくするための衛生管理を徹底するという一年間365日の管理作業が重要なポイントとなります。
つまり生産者にとっては決して楽な作業ではありません、しかしながら、私達は本物を作っている責任と誇りがあります。
小さな組合だから出来る事の最善を尽くした牛乳生産。それは、現実的な企業としての健全度を測りつつ、利潤のみを追求しない生産活動という一見相反する姿勢、そのバランスを取りながら、現在の酪農経営を取り巻く環境を、より一層改善していかなければならないと考えております。
これは私達の行っている製品づくりをマーケット(消費者)に受け入れて頂けなければ、継続することができません。

食は命のリレーのバトン。未来にも残したい自然に即した生産活動。この願いこそ日本の酪農や農業の未来にとって大切なものであり、より良い乳製品を求める消費者の願いに応えられる事と考えております。
常に前進した姿勢での製品作り、そこには私達組合員だけではない“みんなの努力”が詰まっています。

是非白い牛乳に詰まったみんなの思いをお試しください。