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牛乳に秘められたパワー <子供の成長>

最近、子どもの骨折が多くなり、骨がスカスカになっているというデータも出始めています。若い人の骨は本当に大丈夫なのでしょうか?

科学的根拠を求めて思春期の骨密度調査を実施

辻学園栄養専門学校の広田先生のグループは、これまで誰も問題視しなかった20歳頃の若者の骨密度を測り出しました。
そこで見つけた事実・・・それは6人に1人が50歳代並み、つまり閉経後の骨密度しかなかったこと。その原因を調査してみると、学校給食で牛乳を残していたり、いわゆる“コンビニフーズ”を好んで食べているという生活習慣が、結果として浮かび上がってきました(図1)。

女子学生の骨密度調査(N=161、19~25歳の女性)

低骨密度者の特徴

この事実をもとに、ある小学校高学年の骨密度調査を開始したところ、5年間に渡ったデータ収集の結果、小・中学生でも骨密度がかなり低い人がいることが判明しました。
また低骨密度者には様々な特徴があることも分かりました(図2)。
その特徴として女子はヨーグルトがきらい、男子は牛乳やチーズがきらいという、学校給食で牛乳が出ている事実を踏まえると、家庭での乳製品摂取の差が影響しているのではという結果を得ることになりました。
また、食生活を改善することで骨量増加に変化が表れるかについても調査した結果、野菜、果物、魚などを増やした人は骨量が大きく増加したことも判明しています。

骨粗しょう症予防のためにもっとも大切なのは思春期

骨粗しょう症の危険因子には、ホルモン、体格、遺伝子などの解決できない因子と、解決できる因子(図3)があります。後者には、カルシウムやビタミンD、 ビタミンKを多く摂取したり、過剰な塩分やリンを控えるなどの対処法があります。

特にカルシウムは2005年から摂取基準が変更されたことで(図4)、例えば 15~17歳男子の目安量を見ても一日1100mgと非常に高くなっています。将来の健康的な骨のために、これまで以上に積極的なカルシウム摂取が望まれます。

牛乳やヨーグルト、チーズ、豆腐、小魚、小松菜などカルシウムの豊富な食品を。またカルシウムだけでなく、野菜、果物、魚などいろんな食品の成分が骨の形成に大きく関わっていることが分かってきています。だからカルシウム剤などのサプリメントではなく、いろいろな食事から栄養素を摂取する ように心がけることが重要です。 

骨粗しょう症予防の絶好のタイミングは、思春期です。カルシウムを骨にたくさん蓄えることができる、この時期が大事なんだという適切なデータや情報をもとに、子どもたちにとって理想的な食事や運動をすることを日々大切にしていきましょう。

辻学園栄養専門学校 中央研究室
教授/医学博士
広田 孝子先生

出展:J-MILK